光照射面に対して垂直に形成されたpn接合を持つ、垂直接合型有機太陽電池の作製技術を作製し、擬似太陽光照射下、短絡光電流として8.5mAcm^<-2>というアモルファスシリコンに匹敵する非常に大きな値を観測した。 上記研究をさらに発展させ、2種の有機半導体を共蒸着して混合した、I(intrinsic)層として働く共蒸着層をp、n層でサンドイッチした構造の、P-I-N接合セルにおいて、共蒸着膜のナノ構造を蒸着時基板温度によって制御し、光生成したホールと電子を空間的に分離して取り出す方法を確立して、10mAcm^<-2>以上の光電流発生、世界最高レベルの2.5%の太陽光エネルギー変換効率を達成した。I層を2.5nmの超薄膜交互積層法によって作製しても、ほぼ同じ光電流密度を得ることに成功した。さらに2μmもの厚さの透明低抵抗有機半導体層を組み込むことで、セル特性を全く落とさずにショートを完全に防止し、10cm^2の大面積セルの作製に成功した。有機半導体薄膜の膜厚とセルの示す光電流量を詳細に解析することで、有機半導体中で生成する励起子の拡散距離を正確に求めることに成功した。さらに、ドーピング技術によって金属電極直下の有機半導体をn型、p型化し、電子、ホール双方に対するオーミック接合の形成に成功した。これは、有機太陽電池の内部抵抗を根本的に低減することを通じて、セル特性の画期的向上につながると予想している。 以上のように、本基盤研究の研究助成によって、有機固体太陽電池の実用化に大きく近づく、一連の成果をあげることができた。
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