研究課題/領域番号 |
16560008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石丸 学 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (00264086)
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研究分担者 |
弘津 禎彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70016525)
内藤 宗幸 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (10397721)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 相変化型記録材料 / ナノビーム電子回折 / 動径分布解析 / Ge-Sb-Te |
研究概要 |
長距離秩序性を欠く非晶質固体は結晶とは異なる様々な特性を有するために、新規機能性材料として期待され、現在様々な分野で実用化されている。相変化型記録は非晶質と結晶の光学特性の差異を巧みに利用した記録方式であり、CD-RWやDVD-RAMなどとして広く用いられているが、重要な研究課題の一つとして記録速度の向上が挙げられる。相変化型記録における記録速度は結晶化速度に大きく依存するために、高速な結晶化速度を有する材料の開発および結晶化のメカニズムの解明を目的とした研究がこれまで数多く為されてきた。記録材料の詳細な構造情報は、結晶化のメカニズムを明らかにするための重要な手がかりとなり得るが、これまで行われてきた記録材料の構造解析の多くは結晶構造に関するものであり、非晶質構造解析の研究報告例は極めて少ない。本研究では、高分解能電子顕微鏡法およびナノビーム電子線動径分布解析法を用い、相変化型記録材料の非晶質相ならびに結晶相について局所構造解析を行い、また結晶化のメカニズムに関しての考察を行った。 Ge_5Sb_<70>Te_<25>非晶質薄膜から得られたナノビーム電子回折図形は非晶質特有のハローパターンを示すが、高分解能観察の結果、2nmサイズの中範囲規則領域(MRO)が存在することが見いだされた。動径分布解析および自己相関関数解析により、MROの構造が結晶Sbに類似の構造であることを明らかにした。一方、レーザー照射により結晶化したGe_5Sb_<70>Te_<25>はアンチモン(Sb)型の結晶構造を有するが、電子回折図形中に通常のブラッグ反射に加えて、逆格子空間中に面状に分布した散漫散乱が観察された。この面状散漫散乱はソフトフォノンモードの存在を示すものである。非晶質相におけるMRO領域と結晶構造の類似性、およびSb型構造に由来した柔らかい格子振動が、Ge-Sb-Te非晶質薄膜の高速結晶化に重要な役割を演じていると考えられる。
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