研究概要 |
半導体エピタキシャル膜に適応可能なシンクロトロン放射光を用いたサブミクロン横方向分解能を有するX線散乱トポグラフィ装置を開発する。我々が提案・開発しているサブミクロン横方向分解能を有するX線散乱トポグラフィ装置は、ストレートマイクロピンホールを主要デバイスとしている。その観察においては、Si, Ge, GaAs等バルク単結晶の転位の観察が従来法を凌駕する空間分解能および新たに付け加えられた観察情報をもたらしている。しかし、薄膜単結晶に対してはなおS/Nの信号強度に問題がありバルク単結晶のような結果を得ていない。これに対してはバルク単結晶とは異なる回折配置にすることによる可能性を有している。また、エピタキシャル膜に含まれる原子の吸収端近傍の波長を得るためのモノクロメーターも作製し、侵入深さの違いによるトポグラフ像を得、その有効性を探る。 X線顕微散乱トポグラフィは高エネルギー白色マイクロビームとして設計・開発したSPring-8 BL28B2ビームラインのものを最終的には使用する。それはストレートマイクロピンホールを主要デバイスとしているので非破壊で大きな視野の巨視的結晶観察にはすぐれている。また、現在5ミクロンのピンホールから得たゲルマニウム単結晶の転位を1ミクロン以下の空間分解能で観察できている。他にも、薄膜や細表面の結晶性や表面状態を評価するのに適した極微小角入射X線回折及びX線臨界角近傍の全反射イメージをシリコンウェーハを対象にして観察を行い、表面の荒れの状態の深さ方向分布を評価することにより、その荒れの成因が化学機械研磨時に生ずるのではなく、結晶成長によることを明らかにした。また、ボロンを高ドープされた試料に関してドーピング依存性を明らかにした。
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