研究課題
16年度は、(1)HfO_2中の格子欠陥の挙動とトランジスタ特性との関係の研究、及び、(2)Si/SiO_2界面における界面反応素過程の研究に大きな進展が得られた。(1)HfO_2中の格子欠陥、特に、(a)酸素空孔、(b)水素不純物等の原子構造、電子構造を明らかにするとともに、これらの欠陥がHfO_2をベースとしたMISFETの特性に与える影響に関して大きな成果を得ることができた。(a)酸素空孔第一原理計算の結果、酸素空孔はHfO_2の伝導帯であるHf5d軌道から構成されていることが明らかとなった。この結果をもとに、物理モデルを構築し、理論的検討を進めた結果、現在SiテクノロジーのHigh-k技術において最大の問題となっているP+poly-Si電極のFermi level pinningの起源の解明に成功した。以上の結果は多くの実験によって実証された。(b)水素不純物HfO_2に正孔が注入されると、Si基板/SiO_2界面において、Si-Hの形態を取ってSiのdangling bondを終端していた水素原子が自発的にはずれ、HfO_2中の正孔を有するO原子とOH結合を形成することを第一原理全エネルギー計算によって明らかにした。これは、界面にSiのdangling bondが形成され、界面準位密度が増加することを意味する。すなわち、HfO_2への正孔注入によって、基板側界面の破壊をきっかけとする絶縁破壊が起こることが示唆される。以上の計算結果は詳細な信頼性の実験によって確認された。(2)Si/SiO_2界面における、格子間酸素(O_2)の反応に対して第一原理計算による検討を行った。その結果、酸化膜中の格子間酸素がSi基板に取込まれる際のエネルギー障壁は0.2eVという非常に小さい値となることを明らかにした。これは格子間酸素が容易に基板と反応してSiO_2となることを意味する結果である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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