研究課題
17年度は、(1)HfO_2中の窒素不純物の効果、(2)金属ゲートとHf系絶縁膜の界面の電子状態とトランジスタ特性との関係、及び(3)Si/SiO_2界面における界面反応素過程における歪みの効果、の3点において大きな進展が得られた。(1)窒素不純物の効果酸素空孔はHf系高誘電率絶縁膜のリーク電流の原因となりうることを示すと同時に、窒素不純物の添加によってリーク径路の原因となる酸素空孔が不活性化されることを明らかにした。物理的起源は窒素不純物がHfO_2中でN^<3->イオンで存在することによる強いクーロン相互作用である。従って、本機構はアモルファス膜だけでなく結晶化したHf系絶縁膜に対しても有効であることを予言した。さらに本予言はconducting AFMを用いた我々のグループの実験によって実証された。(2)金属ゲートとHf系絶縁膜の界面の電子状態とトランジスタ特性との関係Hf系絶縁膜上のゲート金属の仕事関数は、従来の界面理論では説明不能である非常に不可思議な振る舞いをすることが報告されていた。我々は第一原理計算結果に基づき、新概念である「一般化された電荷中性点」と昨年度提案した「酸素空孔モデル」を組み合わせることにより金属/Hf系高誘電率絶縁膜界面の有効仕事関数を記述する統一理論を構築することに成功した。我々の新しい理論はp-金属や金属シリサイドを含む様々の金属ゲートの仕事関数を説明できると同時に、金属ゲート設計の有効な指針となるものである。(3)Si/SiO_2界面における界面反応素過程における歪みの効果Si/SiO_2界面における、格子間酸素(O_2)の反応に対して圧縮歪が与える影響に対して第一原理計算による検討を行った。その結果、圧縮歪の有無に関わらず界面反応は低いエネルギー障壁で起こるのに対し、格子間酸素(O_2)の濃度は圧縮歪によって低くなることを明らかにした。
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