研究課題
基盤研究(C)
本研究課題の目的は、軟X線照射による化学結合の選択的結合切断を利用して、有機薄膜への均一なドーピング法を開発することである。1.n型半導体であるフッ素化フタロシアニン(F_<16>CuPc)のFls領域での共鳴オージェスペクトルおよびオージェ電子-光イオンコインシデンス(AEPICO)スペクトルを測定した。F^+のAEPICO収量スペクトルは、Fls→σ(C-F)^*に対応する軟X線を照射した時、非常に高い値を示し、そのスペクトル形状は、共鳴オージェスペクトルのスペクテーターオージェ成分と非常に良い一致が見られた。これらの結果から、F_<16>CuPcのFls→σ(C-F)^*におけるC-F結合の選択的結合切断は、スペクテーターオージェ過程をへて起こっていることが分かった。2.機能性デバイスの材料として注目を浴びているテトラフルオロエチレン(PTFE)のAEPICOスペクトルを測定した。この結果から、終状態がσ(C-F(2p))^<-2>σ(C-F)^<*1>をへることで、高効率のC-F結合切断が起こっていることが分かった。3.ポリビニリデンフルオライド(PVDF)は、軟X線照射により高分子主鎖に2重結合が導入されることを、軟X線吸収スペクトルおよび放出イオンの運動エネルギー分布の測定から明らかにした。このような、二重結合の導入により電子構造が大きく変化し、光照射によるドーピングが起こる可能性があることを見いだした。4.PVDFにFls領域の軟X線を照射し、PVDFのX線光電子スペクトルの変化を測定した。XPSの各ピークシフトが起こっていることを見いだした。これは、フェルミ面付近に新たな孤立準位が表れたことにより、各準位がシフトしたと考えられる。これらの結果は、PVDFで軟X線照射によるドーピングが起こっている可能性を示唆したものである。
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