研究課題
ミクロンスケール結晶成長シミュレーション開発の手始めとして、まず理論計算と実験の両面が進んでいるGaAs(001)基板とGaN(0001)基板に焦点を当てて平成16年度は研究を行った。GaN(0001)基板のホモエピタキシャル成長は既に平成14年に第一原理計算で研究し、窒素原子がWurtzite構造と違う位置のサイトに安定してしまうことを防ぐには窒素原子1個の周囲にガリウム原子2個を配置すればいいことを示している。しかし、Ga/N供給比を2にしてしまうと成長に伴ってガリウムの余剰分がガリウム液滴を作って成長を阻害するので、実際はどの程度の供給比が最適なのかを理論で示す必要があった。そこで今年度は第一原理計算を基にGaN(0001)基板上のガリウム原子・窒素原子の様々な周囲の状況に対応した第一原理計算を基にパラメータを設定した動的モンテカルロ法を開発、Ga/N供給比が1.1程度が最適であることを示した(State-of-Art Program on Compound Semiconductors XLI and Nitride andWide Bandgap Semiconductors for Sensors, Photonics and Electronics V 収録の論文)。3月末現在はかなり開発が進み、計算は402原子×402原子というほぼミクロン平方に達するくらいの大きさの平坦基板・微傾斜基板での結晶成長シミュレーションに成功した。GaAs(001)基板は開発した動的モンテカルロシミュレーションの概要をホモエピタキシャル成長の範囲内でcond-matの論文として発表。それを拡張したInAs/GaAs(001)系の量子ドットシミュレーションを東大生産研塚本史郎・荒川泰彦、英Warwick大のG.R.Bellらの実験グループとの共同研究で成長中STM観察実験と比較し、量子ドットのごく初期の核がぬれ層内のガリウム原子の分布の偏りの上の原子1、2個であることを突き止めた。これは現在Natureに投稿予定で準備中のため、この論文に関連した理論の論文の発表はこのNature投稿の論文の掲載が決まるまで控えていて、平成16年度の論文発表には現れていない。また、Nature投稿準備に先立ってこのドット形成をドット制御に用いる特許出願『量子ドットの形成方法および量子ドット装置』を鳥取大から出願した。
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arXiv : cond-mat 0501233(on Web )
State-of-Art Program on Compound Semiconductors XLI and Nitride andWide Bandgap Semiconductors for Sensors, Photonics and Electronics V (H.M.Ng and A.G.Beca編集の一部)
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