波長走査光源の光源は中心波長840nm、発振光スペクトル幅約24nmのスーパールミネッセントダイオード(SLD)であった。正弦波状に波長走査を行うため用いたLC-FPI素子の動特性を調べた結果、温度特性により印加電圧に対する透過波長が変化することがあるので、光スペアナで透過波長を観察し、印加電圧を調整することが望ましいこと、動作周波数は200Hz程度まで可能であること、波長走査分解能は0.008nm程度であることが分った。 約1波長の光路差変化をマイクロメータで与え、位相ロックのフィードバック制御を用いることにより、正確に1波長の変位を生じさせた。この変位によって、変調振幅のフィードバック制御の安定点を1つずつ動かし、各安定点におけるLC-FPIの印加電圧を求めた。各安定点における光路差が波長の何倍であるかを求めた結果、変調振幅Z=πのロックで200μm程度までの光路差を測定可能であった。更に測定範囲の拡大するために、フィードバック信号の極性を逆にすることによりZ=2πの値でロックするようにでき、その結果、300μm程度まで測定範囲を拡大することができた。この範囲において8nm以下の測定誤差であることが明らかにされた。 次に、波長フィルタとして音響光学可変波長フィルタ(AOTF)を用いた。AOTFにはRFドライバーの出力である80MHz程度のRF正弦波信号が印加される。RFドライバーの出力信号をFM復調することによって得られる波長走査周波数の正弦波信号の振幅を、変調振幅の安定点の値とすることによって、時間的に再現性のある安定点を得ることができた。 最後に、1次元段差形状の実時間測定を可能とする干渉計測装置を構築した。すなわち、1次元CCDイメージセンサを検出器とし、ある1つの画素からの検出信号だけを取り出し、1つの測定点に対しフィードバック制御を行い、光路差を求めた。検出画素を0.04秒ごとに移動することによって、17個の測定点について、1μmおよび20μmの段差幅をもつ表面形状を4nm以下の誤差で実時間測定を行った。
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