研究概要 |
本年度は、高調波加速空洞の実機とローレベル制御系の製作を行う予定であったが、検討を進めた結果、施設所有の物が転用可能であることが明らかとなり、現在、テストベンチにおいて電気的特性の測定や真空リーク試験の準備を進めている。ベンチテスト終了後、早期にSTBリングにインストールを行い、ビームテストを実施する予定になっている。このための架台や真空ダクトは、既に準備ができている。新たに用意した真空ダクトは、ビームの通る内面の形状が、空洞のビームポート部分と既存の加速器のビームダクトをなめらかに接続するテーパー状になっており、余分なインピーダンスを低減するための物である。また実機の準備と平行して、STBリングにおけるビーム不安定性に関して、主高周波空洞の高次モードに起因する可能性についても検討を進めている。これまでの検討の結果、2GHz程度までの低い周波数領域には原因となる高次モードは見つかっていないが、今後ビームダクトの遮断周波数程度までの高い周波数領域についても評価する必要がある。また、高調波空洞を用いたシミュレーションスタディーについても、現在、R.Bosch氏(University of Wisconsin-Madison,米国)とともに研究を進めており、STBリングの1.2GeV運転時での影響を評価しているところである。これまでの所、空洞の数が少なくとも、もう1台必要な可能性が高いとの見通しであるが、今後のビームテストの結果と合わせて、より詳細な評価を行う予定である。
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