研究課題
近年、微小範囲で発生する微弱磁場の測定が可能な物性型の高感度磁気センサの開発要求が高まっている。このようなセンサを開発すると新規な磁気情報の発見や技術革新に結びつく可能性がある。今回、製作した酸化物超伝導体磁気センサの超伝導特性が良いほど高い感度を示すことがわかった。これまでの研究結果より、Bi-Pb-Sr-Ca-Cu-O微粒子超伝導粒子の後、焼成を施すと超伝導特性が良くなっていることがわかったいる。本研究では、原材料として、酸化物超伝導体Bi-Pb-Sr-Ca-Cu-Oの超伝導体粒子を用い、その超伝導特性の改善を目指して、衝撃圧縮法を試み、その後、衝撃圧縮を施した試料を焼成、加工して磁気センサとして応用する実験を行った。衝撃圧縮用試料は高温超伝導体粒子を油圧プレス機により、直径10mm、厚さ1mmのペレット状にした。銅製のターゲットに封入し、衝撃銃による衝撃圧縮後(約4GPa)、焼成を行った。焼成はクウェンチングプロセス(QP)を行ってからシンタリングプロセス(SP)を実施した。クウェンチングプロセスは急冷により非結晶化し、その後のシンタリングプロセスで超伝導相構成を容易にするためのプロセスである。これらのプロセスでさらに試料の超伝導特性を改善することが可能である。その後、センサとして応用した試料は短冊状(幅3.7mm、長さ9.5mm、厚さ700μm)に加工してその磁気感度等を測定した。製作した試料は77.4Kにおいて19A/cm^2の電流密度の電流を流し、さらに一様なバイアス磁場(25×10^<-4>T)を印加すると抵抗R_<ms>(B_<ex>)が発生し、磁気センサとしての応用が注目される。この磁場範囲(0Tから4×10^<-4>T)においてヒステリシス現象の発生は一切見られなかった。センサの磁気感度は約10%/(10^<-4>T)という非常に高い磁気感度を示した。すなわち、巨大磁気抵抗(GMR)センサの約10倍の感度を持つセンサの製作に成功した。
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