研究課題/領域番号 |
16560048
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
俵 裕子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助教授 (30188453)
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研究分担者 |
佐々木 慎一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助教授 (80178649)
佐波 俊哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (90321538)
齋藤 究 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (40370077)
安田 仲宏 放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (30392244)
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キーワード | 速中性子 / 線量当量 / CR-39 / 自動解析装置 |
研究概要 |
速中性子線とガンマ線の混合場において、吸収線量D[Gy]、放射線の線質係数QF(L)に基づく線量当量H=QF_<av>×D[Sv]、場の平均の線質係数QF_<av>、を精度良く測定できる積算型線量計とその高速自動解析システムを開発することを目的に研究を行った。特に、数十MeV以上の中性子の線量計測を可能にするため、組織等価物質に入射した中性子によって発生する重荷電粒子のLET分布をCR-39固体飛跡検出器で測定する手法を研究した。また、CR-39に記録された重荷電粒子のエッチピットの形状解析データを用いて、効率良く自動で線量評価が行えるよう、LET分布計算と線量評価のためのプログラム「LETDOSE」を開発した。現在、このプログラムをサンプルチェンジャー付き自動解析システムに組み込むことを行っており、完成すれば測定面積4cm^2、取得画像分解能0.3μm/画素、平均エッチピット密度が数千/cm^2/サンプルの条件で約100サンプル/日の解析速度でLET分布計算と線量評価が自動で行えるようになる。東北大学・速中性子実験施設、原研のTIARA加速器施設や欧州CERNのCERF施設で高エネルギー中性子の照射実験を行い、これら中性子照射サンプルや放医研のHIMAC加速器からの重イオン照射サンプルを用いて、この解析システムの精度や再現性の試験も行った。その結果、このシステムは、エッチピット形状解析精度、画像取得・解析・線量評価の処理速度、操作性等の点では、現段階でも線量評価用としては実用化が可能な性能を持っていると判断される。今後は、このシステムを用いて、統計精度に優れ、従来の固体飛跡検出器の解析で大きな問題となっていたエッチピット解析における属人誤差を排除したデータを系統的に蓄積することが可能になった。高エネルギー中性子の校正を行うための標準場の整備や、中性子輸送計算コードの改良にも役立つ計測データを供給できるよう手法の詳細を検討しさらに改良を加えてゆくことが今後の課題である。
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