研究概要 |
実験:(1)室温から零下170度までの種々の温度において,乾燥状態から水分の飽和状態までの種々の含水率に対し,圧縮強度・圧裂強度・弾性係数・熱膨張係数の測定を行い,これらの温度依存性と含水率依存性を明らかにした.特徴的な点は,飽和状態のサンプルが,他の含水率のサンプルとは大きく異なった挙動を示すことである.また,室温では,湿潤岩体の強度は,圧縮・引張りとも,乾燥岩体よりもかなり小さいが,温度の低下とともに,氷結の影響で,強度が逆転することが明になった.(2)乾燥状態から水分の飽和状態までの種々の含水率に対し,室温から零下170度まで連続的に,立方体のサンプルの表面におけるひずみを測定した.飽和サンプルでは,室温から零度までは直線的に熱収縮を示すが,零度を下回ると突然急激な膨張を示し,一定の温度からは再び熱収縮を示した.この急激な膨張は,空隙に含まれる水分の氷結が原因と考えられる.また,飽和していないサンプルおよび乾燥サンプルは,その様な膨張は示さなかった.空隙の水分が空隙の空気を含んでいる空間の方に逃げてゆくためと考えられる. 理論と数理/数値解析:立方体のサンプルの代わりに球形のサンプルについて,氷結の進展に伴う膨張と熱収縮の過程をシミュレーションすることとし,サンプル内の飽和水の氷結の進展を模擬する移動境界値問題を定式化し,さらに変数変換による移動境界の固定と差分法による離散化を行い,プログラムを開始した.氷結領域の熱伝導,未氷結領域の熱伝導,両領域の境界の位置を循環的に計算するアルゴリズムを提案した.
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