研究概要 |
境界型メッシュレス解法は,非均質材料や非線形材料にも適用できる新しい解析技術である.等方性材料では,境界に節点を配置するだけで処理できるが,非均質材料や非線形材料では領域積分が必然的に現れる.この領域積分を境界積分に変換するには,これまで科研費の研究課題で申請者が取り組んできた知見が活用できる.すなわち,二重相反法(Dual Reciprocity Method : DRM)の考えを用いれば,領域積分のメッシュレス評価が可能である.本研究では,連続体力学の考えで材料特性を把握して導出された一連の境界値問題に対して,新しい解析法を開発するとともに,材料特性評価などの関連する逆問題に応用することを目的にしている. 平成16年度は,DRMを用いる境界要素法(BEM)の領域積分のメッシュレス評価と,線形問題に対する境界型メッシュレス解法の開発を中心に,非均質問題や非均質問題の解法への拡張を視野に入れて,研究開発を行なった.非均質材料のポテンシャル問題については,本研究の海外共同研究者であるVladimir Sladek氏と共同で,2つのメッシュレス解法の定式化を議論し,研究成果を学術雑誌に論文として投稿掲載された. 境界型メッシュレス解法の開発については,線形のポテンシャル問題の解析手法をグレードアップして,ナノ複合材料のシミュレーションにも応用できるように解析手法を改善した.研究成果の一部は国際学術誌に英文で発表した. DRMを用いる境界要素解法の領域積分のメッシュレス評価については,熱弾性問題の解法について完成し,解析手法の汎用化を図り,得られた研究成果の一部は国際学術誌に英文で発表した.一方,次年度で本格的に取り組む非均質材料や非線形材料についてのDRM-BEMの研究開発にも取り組み,発展性のある一定の研究成果を口頭発表した.
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