超音波接合法は、従来の接合法に比べ、常温で迅速かつ容易に接合でき、さらにハンダや溶剤等のフラックスを用いないで接合できることから、環境に優しい接合法であり、また、いかなる材料に対しても適用できることが分かった。さらに接合時に変形や高温を伴わないため、接合材の物性を損なうことなく健全な状態で接合できることが大きな特徴である。ここでは、金属/セラミックス及び異種金属間の直接接合を試み、各材料間における接合の可否とその特性などについて調べた。 全体には、接合する材料の組み合わせによって、それぞれに最適な接合条件が存在し、それらが巧く一致すると接合強度や特性も大幅に向上し、充分実用に供することができる。また材料の接触面では微視的なすべりが生じ、同時に超音波振動の印加で摩擦熱が発生し、界面では予想以上の高温(500℃前後)となり、両物質の相互移着が生じて接合が完了する。この状況下では原子間結合や反応屈も期待できる。また、活性金属や低融点金属をインサート材として用いた場合、有効なバインダとして効果を発揮し、接合を促進させることが分かった。 また上記の大気中の接合に対し、水中における接合の可否や特性について調べた結果、接合強度は大気中および水中のいずれも同値で差はない。しかし、接合強度が安定するまでの接合圧力、印加時間は、水中接合の方が幾分、高・長である。水中接合では、接合界面に発生する摩擦熱が水に放熱・散逸するため、接合部近傍の熱影響部(HAZ)が抑制できる効果がある。このように、多くの利点を有し常識を超えた接合能力として注目される本接合法は、今後の展開が期待される。
|