研究概要 |
昨年度に引き続き、鉄筋を持つコンクリートの試験片からコンクリートの複素電気伝導度および鉄筋とコンクリートの間のインピーダンスを同時に決定するための境界要素逆解析に関する研究を行った。実際にコンクリート試験片表面のポテンシャルを測定するとともに、推定誤差行列の主値の最大値を最小化する条件から測定点の位置や数に関する最適な測定条件を明らかにした。これらの結果を機械学会関東支部ブロック合同講演会-2005足利および機械学会関東支部総会講演会(川越)で発表した。また、国際会議4^<th> Int, Conf. Num. Analysis in Engng 2005で発表した。 これまでに、腐食箇所の形状や数を予め仮定する必要のない遺伝的アルゴリズム(Generic Algorithm、GAと略す)による腐食検出法を提案してきたが、計算時間が膨大となるのでGAを階層化するなどの工夫を施してきた。GAをさらに効率化するために、各階層の解析において任意の数の網目状鉄筋をひとまとめにして取り扱うことのできる網目特殊要素を開発し、機械学会論文集A編に投稿した。 コンクリート中の鉄筋に腐食が生じると腐食部からコンクリート中に電流が流れ出し非腐食部に戻ってくるので、この腐食による電流ループが作るコンクリート表面における磁場をビオサバールの式により算定し、磁場計測による腐食検出のための境界要素シミュレーションを行った。その結果、ポテンシャル計測による腐食検出よりも高い精度が得られることを示し、コンクリートかぶりが厚い場合や複数層の鉄筋が存在する場合に利用できる可能性があることを示した。この結果を岩手県などが主催する第8回SQUID研究会において、特別講演として発表した。また、International Journal of Corrosion (NACE) Vol.61 No.8 pp.784-791(2005-8)に論文発表した。 カソード防食の最適化についてこれまでの研究を展望し、Trans. WIT. Simulation of Electrochemical Processes, Engineering Sciencesに発表した。
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