研究概要 |
熱膨張係数の異なる材料で構成される電子デバイスのはんだ接合部には,電源のon/offによって熱応力が発生する.また,はんだは融点が低く200〜300℃前後であり、常温においても顕著なクリープ現象を生じる.これらのことから,クリープ疲労強度評価がはんだ接合部の信頼性向上のために重要となる. 電子デバイスに使用されるはんだのクリープ強度の研究は,最近になって組織的に行なわれつつあるが,それらの研究のほとんどが標点部直径が7〜10mm程度の比較的大きな寸法の試験片を用いている.しかし,実際の電子デバイスに使用されるはんだ接合部の寸法は,数100μmのものが多く,直径が7〜10mmのバルク試験片から得られたクリープデータの微小はんだ接合部のクリープ強度への適用性が課題とされてきた. 本研究では,はんだのクリープ強度に及ぼす試験片寸法の影響を考察するため,標点部直径が0.3mm〜2.0mmの試験片のクリープ試験が可能な直下荷重方式のミニチュアクリープ試験機を新たに開発した.さらに,開発した試験機を用いて,鉛系Sn-37Pbおよび非鉛系Sn-3.5Agはんだ試験片について直径が0.3mm〜2.0mmのクリープ試験を系統的に実施した.得られた結果を解析し,クリープ変形やクリープ破断時間に及ぼす試験片寸法の影響を明らかにすることを通じて,直径が8mm程度のバルク試験片のクリープ強度特性からミニチュア試験片のクリープ強度特性を推定する方法を開発した.
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