研究概要 |
近年の工業界においてコンピュータ,自動車,家電製品および各種電気機器など広範囲の分野で表面実装技術が取り入られ,これら電子デバイスの電気的・機械的接合には必ずと言って良いほど,はんだが用いられている.しかし,はんだは強度部材という認識が薄かったこともあり,強度評価のためのデータの蓄積はほとんど行なわれてこなかった.最近になってはんだの信頼性評価法確立のための各種試験を通じての検討等が組織的に行なわれつつある. 現在,はんだの強度評価法に関する主要な学術および技術課題の一つとして,はんだの微小接合部問題がある.はんだ接合部は寸法が100μm〜1mm程度であり,このような微小部分でのクリープ寿命評価法はこれまでには皆無に近く,微小はんだ接合部に適用できるクリープ寿命評価法を開発する必要がある. 上記の研究課題に対して本研究では,直径が0.3〜2mm程度の試験片のクリープ試験が可能なミニチュアクリープ試験装置を新たに開発した.開発した装置を用いて,鉛系Sn-37Pbおよび非鉛系Sn-3.5Agの2種類のはんだを用いて,直径が0.3〜2mmの試験片のクリープ試験を系統的に実施した.得られた結果を解析し,クリープ変形やクリープ破断時間に及ぼす試験片寸法の影響を明らかにすることを通じて,直径が8mm程度のバルク試験片のクリープ強度特性からミニチュア試験片のクリープ強度特性を推定する方法を開発した.併せて,鉛系および非鉛系はんだの寸法効果について明らかにした.
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