研究概要 |
マグネシウム合金は実用金属の中で最も軽く,多くの優れた特性を有している.しかし,板材成形においては室温でのプレス加工が困難である.この成形性の悪さを克服する一つの方法として温間成形がある.そのため従来十分に明らかにされていないマグネシウム合金板の温間成形において適正な成形温度と速度を決定することは非常に重要である. 本研究では,マグネシウム合金板(AZ31)を用いて単軸引張り試験および二軸引張り試験を種々の温度,速度にて行った.単軸引張り試験からは種々の温度,速度における応力-ひずみ曲線を得,次の知見が得られた.変形抵抗,0.2%耐力,引張り強さ,破断伸び,C値(硬さ係数),n値(加工硬化指数),m値(ひずみ速度感受性指数),r値(板厚異方性係数),E(ヤング率)およびν(ポアソン比)の温度,速度依存性および面内異方性の系統的結果を得,力学的応答モデル(応力-ひずみ関係式または構成式)と材料予測モデルの導出が行えた.二軸引張り試験からは二軸応力状態での種々の温度,速度および応力経路における降伏曲面および等塑性仕事曲面を精度良く示すことができ,高精度な解析を行える有力な結果が得られた.また,種々の降伏関数と実験結果(降伏曲面及び等塑性仕事曲面)を比較検討したところ,温間でのマグネシウム合金においてはFCC金属でよく合うといわれているLogan-Hosford及びBarlatoの降伏関数が良く合うことを示した.このことは,単軸引張り試験より得られた種々の温度及び速度による相当応力-相当ひずみ曲線も比較したがこれらの降伏関数で計算した場合よく一致している.
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