研究課題
3年間で、以下の3つのフェーズからのアプローチを試みる。1.ミクロ組織内の炭素拡散解析モデルの構築、2.1を考慮した高速冷間加工での変形解析、3.画像処理によるデジタルマイスター構築平成17年度は、2.1を考慮した高速冷間加工での変形解析に注力した。(a)従来ベースの塑性変形解析モデル作成マクロスケールにおける(1)塑性変形と(2)加工発熱、ミクロスケールにおける(3)炭素拡散を同時に求める総合解析モデルの構築を目標とした。まず、(1)塑性変形と(2)加工発熱の解析を実施するために、汎用FEM解析コードを用いて解析モデルを作成し、工具形状を様々に振り分けた高速変形の解析を実施した。その際、第一近似として、炭素拡散による時効硬化を計算する代わりに、時効硬化が既知とした。結果、棒材の両端部の口を絞る高速圧造加工において、時効硬化の影響が変形形状に現れることが予測された。(b)加工発熱とそれに伴う時効硬化の考慮実験結果に基づき、昇温・冷却過程での炭素拡散に関する仮定を新たに導入し、前年度に開発したミクロ組織内の炭素拡散の解析モデルを拡張した。さらに、(1)塑性変形と(2)加工発熱を解くマクロ解析モデルと、(3)炭素拡散を解くミクロ解析モデルのデータ転送を可能とし、総合解析モデルを構築した。これにより、棒材の両端部の口を絞る高速圧造加工の解析を実施し、複数パスでは、炭素の拡散が充分に進行し、炭素拡散が変形形状に影響を及ぼすとの結果を得た。また、すえ込み加工においても、圧縮率を50%以上とすることにより、炭素の拡散が充分に進行し、拡散が加工後の硬さに影響を及ぼすことが予測された。(c)熱処理材の塑性変形実験(b)の総合解析モデルの精度を検証するための高速冷間加工条件を検討した。具体的には、圧縮率が50%以上となるすえ込み加工を対象に、簡便な落錘試験による評価方法を検討し、必要となる落錘の質量、落下高さなど、実験装置の設計を完了した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Computational Plasticity, COMPLAS 8th, Barcelona
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Journal of Materials Science and Technology (IOM3) Vol.21 No.7
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7th International Conference on Technology for Plasticity
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