研究概要 |
各種硬質薄膜を微細加工に応用するために,トライボ特性評価および耐剥離性の簡易評価法の開発を試みた.ビッカース圧子押込み試験による剥離臨界過重とビッカース圧痕対角表から算出されるHV値間に相関が認められた.ビッカース圧痕形態は被膜の密着性を反映しており,HVおよびHc+ΔH値によって密着性をある程度定量的に評価できることが明らかになった.しごき形摩擦試験によるトライボ特性評価では,CrNに比較して,DLC-Siが優れた特性を示し,マイクロ成形用には有望であることが判った. 成形用材料については,結晶粒径と加工性について検討した.黄銅材料およびアルミニウム材料について,金属組織と加工性の関係を自由すえ込み加工によって評価した.粒径が製品サイズに対して1/10程度以上の場合,不均一変形が顕著となり,成形が困難となる.製品サイズの微細化にともない,超微細粒化が必要となった. マイクロ成形プロセスについては,微細押出し装置の試作およびそれによる黄銅の押出し実験を行い,微細化に伴うトライボ現象の変化を確認した.さらに徴細径(φ1mm以下)の軸の形状加工を行うためのフォームローリング装置の試作を行った.従来,切削により加工されていた軸製品の塑性成形による成形可能であることを示した. 箔材の深絞り成形および張り出し成形についても検討を行った.加工用素材,形状加工プロセス,ダイス表面のトライボ特性の視点から,マイクロ/メゾ成形技術の確立を企り,それぞれの可能性が明らかとなった.
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