研究概要 |
新たに提案した軸拡径加工法に対して加工機構を科学的に解明し,工学的に理論体系化された工業技術に発展させることを目的とし,基礎研究と工作機械の改良を着実に進め,有益な研究成果を挙げている. 科学研究費補助金の交付期間(平成16年度〜平成17年度)の最終年度は,研究計画に基づき当該研究を総仕上げしており,得られた研究成果は以下のようにまとめる. 1.軸拡径加工法を向上させる熱処理法の提案 軸肥大加工に適した微細な均質組織を得るためにSC材に対して適正な熱処理を施し,強さと靭性のバランスがとれた材質改善により,軸拡径加工に対する健全な加工限界を向上できる加工条件を明らかにした.また,高周波誘導予加熱により,更なる有効な軸拡径加工法を提案した.それらの研究成果は,次ページの研究発表(雑誌論文リスト)の1〜2をご参照ください.国際学術会議「AMDP,2006.5」にて2件口頭発表した.また,「塑性と加工」に2件投稿しており査読中. 2.軸拡径加工実験および強度検証実験の実施 各供試材において,実験用サイズから実用サイズまで(直径10mm〜60mm)の軸材に対し軸拡径加工実験および強度検証実験を行い,適切な加工条件およびこの加工法の有効性ならびに疲労損傷に対する健全性について実験のみならず解析的に確認した.また,軸の軽量化を視野に入れ,中空軸材への軸拡径加工法の適用可能性も実験的に明らかにした.それらの研究成果は,次ページの研究発表(雑誌論文リスト)の3〜5をご参照ください. 3.軸拡径加工法に関する基礎データベースの構築 実験およびFEMシミュレーション解析に基づき,各供試材における軸拡径変形挙動に及ぼす各加工条件の影響および強度信頼性について明らかにし,得られたデータを軸肥大加工における基礎加工データベースとして構築した. また,共著した「新しい発想による部分軸肥大加工法の開発」(塑性と加工,Vol.44,No.514,pp45-49,2003)は,2005年5月に日本塑性加工学会賞の「論文賞」を受賞した.
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