平成17年度は16年度の研究結果をもとに、主にPLZTの特性を調査した。 本研究は最終的にμmレベルの微小部品を成形することを目的としている。その特徴は、光歪素子のPLZTを型材料に使用していることであり、成形は、紫外線をPLZT表面に照射することによりPLZT表面を型形状に対応して形状変形させ、その凹凸形状に成形材料を充填し成形する。したがって、PLZT表面の変形精度が成形品の精度に繋がる。そこで、本年度はPLZTを設計形状に変形させ、その変形量を3次元的に表示するシステムおよび成形装置の開発を行った。開発した装置は変形量を分解能10nmで計測可能であり、測定領域は最大50mmである。現時点では変形量約3μmのPLZT型を作成し成形実験を行っている。 また、このPLZT型の問題点も研究過程の中で明らかとなってきた。一般にPLZT素子の変形量は素子の大きさや構成材料の成分比に依存し、変形量が飽和する時間(応答時間)も変位量と共に増加する。この応答時間は本成形方法においては成形品の生産性に関連する。研究当初、変形量はμm程度と微小量のため、応答時間は短いものと推測していた。しかしながら、実験の結果、用いたPLZT素子においてその応答時間は約10分となり予想より長いものとなった。その理由としては、変形量はPLZT自体の変形量のほか、紫外線照射による熱変形などの要因が影響していると考えられる。したがって、高精度成形を行うためには、これら外的要因を調査し対策をしなければならない。 平成17年度は、研究成果として雑誌論文12件および研究発表32件を行った。
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