1.研究目的と平成17年度の達成目標 本研究は、微細患部の生検・治療を主目的とする軟性内視鏡用鉗子に注目し、微細化と金型成形により、医療の高度化と普及に貢献しようとするものである。平成16年度は当面の目標とした0.3mm超微細鉗子(0.6mmワーキングチャンネルに適用)の成形に基本的に成功した。これを受け、平成17年度は(1)試作鉗子の機能評価、(2)鉗子形状の検討、(3)自動組立を主目的として検討を行うこととした。 2.平成17年度の研究成果 (1)試作鉗子の機能評価 鉗子による検体採取ないし把持においては、安全且つ患部損傷を極限的に小さくすることが望ましい。こうした観点からの機能評価においては、まず評価方法の確立が重要なことから、試作評価装置を用いて検討を行った。その結果、検体を把持する力の大きさと、これに対応して定まる採取力(引張り力)、ないし採取力線図の傾向から鉗子刃の機能及び鉗子全体の機能が評価できることを明らかにした。 (2)鉗子形状の検討 2つの観点から検討した。一点目は(1)で述べた機能評価装置によるもので、この試験より、(1)小さな採取力で採取可能な鉗子刃形状、(2)採取時の力変化(処置時の引張り力に対応)で検体の状態、ないし採取状況の把握が可能な鉗子刃形状の存在が明らかとなり、以降の開発に有益な知見を得た。二点目は、試作鉗子の動作に係ることである。微細化の結果、連結板の低剛性が鉗子の動作安定性を妨げる問題が認められ、対処方として溶接を採用し、良好な結果を得た。 (3)自動組立 生産性向上の観点からの検討事項である。本年度は基本的な組立方式の確立を目指し、シミュレーションによる検討を行い、組立手順と組立に向く部品形状のあり方を明らかにした。 3.まとめ 以上述べたとおり、平成17年度の当面の目標は概ね達成された。しかし、このような微細部品を組立てる製品製造の難しさに鑑み、鉗子形状の見直しも含め、製造方式の検討を次年度の課題としたい。
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