研究概要 |
1.研究目的と背景 軟性内視鏡を用いた検査・処置は急速に普及してきている.用いられる鉗子は,現状1.2mm程度が下限であるが,一層の微細化ができれば適応部位も広がり,医療分野に大きな貢献が可能となる.また,現状の鉗子部品の多くが切削であり,これを金型成形できれば低コスト・安定供給が可能となる.本研究は鉗子の微細化,並びに金型成形手法の確立について検討したものである. 2.主な研究成果 最も成形が難しく,且つ重要部品である微細鉗子の把持部品(把持部寸法φ0.3mm及びφ1.0mm)の形状設計,強度解析,さらに金型成形法を提案し,0.3mm把持部品では14工程の順送方式による成形を実現した.さらに他部品を組み併せ,実際に動作できる鉗子の組立てに成功した.こうした事例研究を通して,微細鉗子の金型成形の基本となる各種技術開発を下記のとおり行った. (1)成形形状の自由度:多様な形状が要求される把持部品の成形において,金型構造・工具配列等の工夫により成形自由度を向上させる手法を提案した. (2)自動組み立ての検討:微細製品であることから,自動組立てする手法を提案し,部品成形との関連を併せ検討した.また組み立て接合技術として弾性輪とレーザ溶接による固定法を検討した. (3)強度の検討:安全性の観点から,把持部品・ピン部品の強度を解析する手法を提案した. (4)成形基礎技術の検討:把持部品等の成形基礎技術としてもっとも重要な微細せん断加工技術について,微細せん断加工機構,工具の変形機構を明らかにした.さらにピン接合として摩擦圧接についてし,0.3mm程度の細線の接合に成功条件を明らかにした. (5)鉗子の機能評価:鉗子の設計・製作において重要な鉗子の機能評価を行い,把持力と鉗子引張力の計測でこれをなし得ることを確認した.
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