研究概要 |
申請者は平成17年度には前年度の研究改良した超音波スピンドルを用いて,超音波振動切断における振動の効果とそのメカニズムについて検討を行うと共に,超音波工具の形状と発振特性の関係を有限要素解析を用いて検討し,その結果を元に実際の工具モデルを作製し,その結果を比較した.今年度に行った実験結果を記述すると以下のようになる. (1)工具に超音波振動を付加させたときの加工部での加工液の挙動を高速度カメラにより観察した結果,工具表面のいろいろな場所で,半径方向にキャビテーションが発生することが明らかとなった.そして,このキャビテーションが工具の目詰まりを防止するものと判断された. (2)超音波振動切断時の砥粒の工作物への食い付き効果を検討するために,工具を低速で回転させながら工作物と接触させた結果,超音波振動切断では砥粒が工作物表面で滑ることなく工作物に食い込み,砥粒の引っ掻き効果を生じていることが明らかとなった. (3)超音波振動加工におけるドレッシング効果を検証するために,同じ工具で何回も繰り返し切断実験をした結果,工具表面に付着したに切り屑(目詰まり)を除去することは可能であったが,砥粒の目立て効果は期待できないことが明らかとなった. (4)市販されている汎用のブレード工具を超音波発振させる分割型フランジの開発の可能性を検討した結果,分割部分を止めるねじ穴は超音波発振に影響を与えず,分割型のフランジの合わせ面の影響が発振特性に大きな影響を与えることが明らかとなった.
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