研究概要 |
平成18年度は、凝着と摩擦に及ぼす通電および高周波振動の影響を調べると共に、凝着と摩擦との間に相関関係があるか否かを検討した。まず、150mV以下の通電を圧子(WC)と試験片(無酸素銅)間に行った結果、摩擦にも凝着力にも有意差は見られなかった。一方、それらの圧子と試験片間に高周波振動を負荷したところ、摩擦係数の減少が確認され、また測定できる凝着力は生じなかった。これらに加え、WC圧子の炭素鋼(S45C)および無酸素銅への押込みにおける圧痕測定、また摩擦力測定を行い、摩擦係数と圧痕の大きさとの関係、凝着力と摩擦係数との関係を各種の潤滑油剤中で詳細に調べた。その結果、静摩擦係数と圧痕の投影面積の逆数の間に直線関係があることを見出し、加工硬化の小さい材料では圧痕の大きさを測定することにより静摩擦係数が推定できることを示した。また、凝着力と静摩擦係数の間にも直線関係があることを示し、凝着測定から静摩擦係数が評価できる可能性を示した。 これらの結果を基に、リーズ-リヨン国際シンポジウムにおいて論文「Indentation into metal surface by acute-angled conical indenter, and its application」の研究発表を行うと共に、「金属材料の摩擦係数測定及び摩擦係数測定装置」の特許を出願した。 本年度は、本研究課題の最終年度であり、3年間に得られた研究成果を総合的に評価・検討し、その結果を研究成果報告書としてまとめている。
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