研究概要 |
本研究は、自動車用無段変速機の一つである、トラクションドライブ式無段変速機の効率向上と小型化をめざし、変速を携わるパワローラを、これまでの4つから6つにした装置の開発とその試験結果をまとめたものである。主要な内容は、解析部では、トラクションカーブの作成によるスリップ限界と効率の解析と、6つのパワローラの傾転角運動の同期安定性の解析を行い、試験部では、伝達トルク容量430Nm,変速比幅0.427〜2.334のCVTを試作し、6つのパワローラの同期試験と、効率測定を行なったことである。変速制御系の安定性の解析と試験では、ボンドグラフ解析と実機試験により、変速比のステップ応答と、負荷がステップ状に変化する場合の2種類の過渡応答を調べた。特に、負荷変化時に生じる非同期不安定問題の解決法を示し、実用時の設計指針をまとめた。試験は300Nmまでの試験に対して、安定に回転数を可変速し、全変速範囲において、低トルクから高トルクまで、効率90〜92%の伝達効率がえられるという成果をえた。本研究により、6パワローラ・トロイダルCVTは同期運動に問題はないことが確認され、従来形のCVTより15%程度小型化しながら、伝達トルク容量を1.2倍程度大きくできることを立証した。
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