研究概要 |
H16年度に製作した電荷注入式静電フィルタモデルを用いて,ろ過速度に及ぼす以下の因子の影響を調べた.電極平面寸法は100×200mm,注入電極と平滑電極の表面間距離は9.5mm,内部体積は約0.5Lであり,実験には市販の各種潤滑油にJIS試験用粉体を混入した人工汚染油を用いた. 1.注入突起数の影響:突起数=0,40,80,166,312 2.電極間隔の影響:突起先端と平板電極の間隔=3,4,5,6mm 3.印加電圧と極性の影響:電圧=8〜14kV,正極性と負極性 4.流量の影響:流量=1〜12cm^3/s 本研究により,電荷注入式静電フィルタの実用化に向けて有用な以下の結果を得た. (1)注入突起数の増加ならびに突起と平滑電極の間隔の減少に伴い,ろ過速度は増加する.しかし,油の種類によってはそれらの増減に対し,ろ過速度が飽和する傾向あるいは逆に低下する傾向を示す. (2)印加電圧と流量の増加に伴いろ過速度は増加するが,増加に伴いろ過速度は飽和する傾向を示し,電圧に関しては10〜12kV以上ではろ過速度はあまり変化しない. (3)粒子の帯電極性と同一極性で電荷を注入するほうが,ろ過速度の増加は大きい. (4)電荷注入無しの場合,ろ過速度は油の導電率と比較的良い相関を示し,導電率の高い油はろ過速度が遅くなる.ただし,電荷注入によるろ過速度の向上の程度に関しては,導電率との関連は認め難い. (5)ろ過速度と油の粘度との相関はあまり無いが,電荷注入により比較的低温でもろ過速度を高めることができる. (6)捕捉された粒子が流れの抗力により離脱する場合がある.突起先端近傍から生じるイオンドラッグ流れも離脱の一因となっていると考えられる.
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