研究概要 |
本研究の目的は,機械要素のトライボCAD設計基礎データである潤滑油高圧粘度をダイヤモンドアンビルセル(DAC)高圧発生装置を用いて実測し,油高圧物性データベースを構築する.初年今年度研究実績を実施計画に対応させて下記に示す. 1)DACへの金属板ガスケット圧力室セッティング効率化の検討 瞬間接着剤を用いた方法および油封入時の気泡をつぶす治具の開発で効率化できた 2)DAC昇温時の圧力変動の測定および安定化法の検討 ガスケット材料,形状および装置内油漏れ防止用の皿ばね寸法の最適化を行った 3)155℃から200℃までの測定範囲拡大および短時間昇温方法および温度計測精度向上 ヒータ容量の最適値の検討,熱電対の圧力室への密着性,断熱処理の改良などにより,200℃での粘度測定が可能となり,昇温時間も従来よりも1/4程度にまで短縮し,温度変動も200℃で±1℃以内となった. 4)既存高圧高温粘度データのある油にてキャリブレーション実験 文献値およびその外挿値とは150℃まではほぼ一致したが,200℃では実験値と差が見られ,外挿値の予測誤差などを指摘できた. 5)0.3GPaまでの低圧域での新しい簡易的な圧力決定法の検討. 高圧粘度データを有する油の粘度測定より圧力を逆算する実験を繰り返し,DACの加圧ねじ回転角から圧力を決定する方法が有望であることを見出した. 6)計画以外の関連する研究成果. 高圧固化後の油のせん断特性も重要でありその評価の可能性を探るため,マイクロ金属球の塑性変形を観察した.また,油固化高圧力下のトラクション曲線近似計算法として提案されている乾燥転がり接触理論(粘着理論)の広範囲妥当性を検討するため,スピンを伴う高面圧トラクション試験機製作も行った.
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