研究概要 |
ピエゾ電気材料は,構造的な力学現象と電気的な現象間に連成効果を生じる材料である.代表的な材料として,PZTセラミクスや圧電性ポリマーあり,これらはアクチュエータやセンサとして多用されている.他方,ピエゾ抵抗材料は,同様に,構造的・電気間の連成効果を生じる材料であるが,材料に応力を負荷した場合に抵抗値が変化する効果を生じる点が異なる.この材料もやはり圧力センサ等として広く利用されている.これらの材料をアクチュエータやセンサとして利用する場合には,通常他の比較的弾性係数の小さい柔軟な弾性構造物と連結し,アクチュエータとして必要な所要の変形機構の形成,変形量の拡大を図ったり,センサとして必要な荷重方向の選定や,感度の向上を図る.本研究では,このようなアクチュエータやセンサの高性能化や多機能化を図るために,トポロジー最適化と多目的最適設計の考え方のもと,最適なピエゾ材料と柔軟構造の形態・形状を創成可能な設計法を開発する. 本年度は,その開発の一環として,前年度に引き続き,代表的な柔軟構造であるコンプライアントメカニズムと動的な柔軟性をもつレゾネータの形状創成可能な最適設計法を構築した.さらに,設計者の創造性を支援する方法と最適設計法を統合化し,従来の最適設計では創出することが難しいより高度なコンプライアントメカニズムの創成することが可能となった.他方,アクチュエータやセンサの創成設計法については,開発の第2段階として,前年度に開発したコンプライアントメカニズムの最適設計法とピエゾ電気およびピエゾ抵抗に関する数値解析システムを用いて,ピエゾ電気デバイスの分極方向を考慮可能なピエゾアクチュエータの最適設計法と,ピエゾ抵抗センサの最適設計法を構築した.また,構築した最適設計法により得られた最適構造の性能を検証するため,簡単な創成設計例について実験検証の初期検討を行った.
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