研究概要 |
本研究では,直径が50μm以下の超極細ワイヤーを小径のピンやパイプに巻き付け,ピッチが100μm以下のマイクロねじ,マイクロナット,マイクロ歯車を試作することを目的とする. 研究では超極細ワイヤーとして,直径が50μm,30μmの錫メッキ銅線と,直径が50μ,30μmのタングステン線を2本1組として,材質が真鍮で直径が0.5mmの極細ピンに巻き付け,これを半田漕に浸して錫メッキ銅線を極細ピンに半田付けし,その後,タングステン線を極細ピンから取り除くことで,ピッチが100μと60μmのマイクロねじを試作することができた.また,同様な手順でピッチが100μm,60μmのマイクロナットも試作することができた.ここで,タングステン線は,線の表面に付着している炭素を除去した通称(ホワイト)タングステン線を使用しないと,半田漕内の溶融半田が錫メッキ導線と極細ピンの隙間に浸透せず,錫メッキ銅線が半田付けされないことがわかった.また,極細ピンの表面にNi下地金メッキを施さないと半田付け力灘しいことも分かった. マイクロ歯車の試作では,直径が50μmの錫メッキ銅線15本とポリウレタン被膜導線15本をすだれ状に交互に並べ,これを直径が0.5mmのステンレス製の注射針に巻き付けることで,歯数15,ねじれ角20.4°,斜歯方向がCWおよびCCWの2種類の斜歯歯車を試作することができた. H16年度の研究では,目標としたマイクロねじ・ナット・歯車を試作することができたが,使用した錫メッキ銅線は切れやすく表面が摩耗し易く,また,線径も30μmであるため,H17年度では,摩耗性に優れ強靱なステンレス線やタングステン線を小径ピンにロウ付けする方法を研究し,さらに,直径が10μmの超極細線を用いたマイクロねじ・ナット・歯車の試作を試みる.
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