研究課題
Al-Si合金含浸グラファイト複合材料(ALGR-MMC)及びその基材と軸受鋼の組合せで、無潤滑、滴下及び浸漬の潤滑方式による摩擦・摩耗特性の相違を調べることを目的として、エンジン基油(SAE30+AO)を用いて、ピン・ディスク型一方向すべり摩擦・摩耗試験を行った。この場合、滴下は試験前にのみ行われ、油量は0.005〜1cm^3のごく微量である。得られた主な結果は以下のようにまとめられる。(1)基材のAl-Si合金では、微量の油量で油膜完全破断が起こり、摩擦係数及び摩耗率は高い値を示すが、油量が多いと殆ど摩耗が発生せず、かつ油膜完全破断も起きない。(2)基材のグラファイトでは、油量の増加と共に摩擦係数及び摩耗率は低下するが、浸漬状態でもALGR-MMCとAl-Si合金に比べてかなり高い値を示す。(3)ALGR-MMCは無潤滑、滴下、浸漬状態で基材よりも耐摩耗性及び摩擦特性に優れ、滴下油量の少ない過酷な潤滑状態下でも使用可能な摺動材料である。(4)ALGR-MMCの摩擦係数及び摩耗率は相手面に移着した被膜中のAl及びCのX線強度が増加すると共に高くなる。次に、ALGR-MMCのフレッティング摩擦・摩耗特性を調査するため、空気中・無潤滑下で同複合材対軸受鋼球の組合せでフレッティング試験を行ってきた。本年度ではSEM及びEPMAを使用して、試験後の摩耗面の観察と元素分析を行い、摩耗面の性状からALGR-MMCのフレッティング摩擦・摩耗特性に及ぼす接触荷重の影響を考察した。得られた主な結果は以下のようにまとめられる。(1)ALGR-MMC(ディスク)対軸受鋼(球)の組合せでフレッティング試験を行うと、試験途中に動摩擦係数及び相対すべり片振幅が急激に変化する場合(Type A)と、試験終了まで一定の値を維持する場合(Type B)の2つのフレッティング過程が存在する。(2)Type Aは調べた荷重の範囲内(5〜100N)で、Type Bは高荷重(50〜100N)で現れる。(3)両過程が現れる原因としては、試験開始時の接触面におけるAl-Si合金部分とグラファイト部分の面積割合が各試験で異なるためと考えられる。
すべて 2004
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