研究概要 |
平成16年度においては,無添加の生分解性潤滑油として脂肪酸エステル系合成油を使用した場合および比較のために無添加タービン油を使用した場合について,動力循環式歯車試験機により荷重漸増式で歯車試験(平歯車,モジュール4mm,歯数18・40,小歯車回転数6000rpm)を行い,スコーリング強さを明らかにした。また,同様の潤滑油についてアムスラー摩擦試験機による二円筒試験を行い,焼付き強さおよび摩擦特性を明らかにした。 平成17年度においては,添加剤入り脂肪酸エステル系合成油を使用した場合について,同様の試験条件で歯車試験および二円筒試験を行った。さらに,生分解率の高い各種植物油と脂肪酸エステル系合成油を使用した場合のスコーリング強さについて,比較・検討を行った。これらの結果から,本年度においては,以下のことが明らかになった。 1.歯車試験において,添加剤入り合成油の場合の歯車のスコーリング強さは,無添加合成油の場合に比べて約1.1倍となり,スコーリング強さに及ぼす添加剤の効果は小さい。 2.歯車試験において,添加剤入り合成油を使用した場合の音圧レベルおよび歯車箱の振動加速度は,無添加合成油を使用した場合に比べて大きく現れる傾向がある。 3.二円筒試験において,添加剤入り合成油を使用した場合の焼付き強さは,無添加合成油を使用した場合に比べて約0.8倍となり,焼付き強さに及ぼす添加剤の効果は認められない。 4.二円筒試験において,無添加合成油を使用した場合の焼付き強さは,無添加タービン油を使用した場合に比べて約1.7倍に向上する。 5.植物油(無添加なたね油)を使用した場合の歯車試験におけるスコーリング強さは,無添加タービン油を使用した場合に比べて約1.7倍であるのに対して,無添加合成油を使用した場合のスコーリング強さは,無添加タービン油を使用した場合に比べて約2.3倍となる。
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