研究概要 |
脂肪酸エステル系の生分解性合成潤滑油について,動力循環式歯車試験機を使用して歯車のスコーリング強さを明らかにした.また,同様の潤滑油にっいて,アムスラー摩擦試験機を使用して種々の条件で二円筒試験を行い,摩擦特性および焼付き特性を明らかにした.さらに,植物油を使用した場合と脂肪酸エステル系合成油を使用した場合のスコーリング強さについて,比較検討を行った.これらの結果から,以下のことが明らかになった。 1.二円筒試験において,無添加合成エステル油の場合の焼付き強さは,無添加タービン油の場合に比べて約1.5倍以上に向上する。 2.二円筒試験において,無添加タービン油の場合の摩擦係数がほぼ0.06〜0.08であるのに対して,無添加合成エステル油の場合の摩擦係数はほぼ0.04〜0.07の低い値を示す。 3.歯車試験において,無添加合成エステル油の場合のスコーリング強さは,無添加タービン油の場合に比べて約2.3倍に向上する. 4.歯車試験において,合成エステル油の場合のスコーリング臨界温度は,無添加タービン油の場合に比べてほぼ200℃高く現れ,約400〜440℃である. 5.無添加合成エステル油の場合の音圧レベル,歯車箱の振動加速度および損失トルクは,添加剤配合合成エステル油の場合に比べて低い値を示す傾向がある. 6.本研究で使用した添加剤(酸化防止剤,耐摩耗添加剤)配合合成エステル油については,添加剤の効果は認められない。 7.植物油として無添加なたね油を使用した場合の歯車試験におけるスコーリング強さは,無添加タービン油を使用した場合に比べて約1.7倍であるのに対して,無添加合成エステル油を使用した場合のスコーリング強さは,無添加タービン油を使用した場合に比べて約2.3倍となる。
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