本研究は、気液二相流の特徴の一つである圧縮性を積極的に利用することにより、従来のものよりも低い噴射圧の水中ウォータージェットによる有機化合物分解を実現することを目的としてなされたものである。2年間に渡っておこなわれた本研究の結果を要約して以下に列記する。 1.水中ウォータージェットの噴射ノズル内を流れる気液二相流が衝撃波の発生条件を満たすとき、有機化合物の分解度合いは増加することが確かめられた。しかし、現在までに得られた有機化合物の分解率は所期の目標よりも低い範囲に留まっており、装置のさらなる向上を図る必要がある。 2.噴射ノズル内の気液二相流を超音速にするために、人工微細気泡および旋回流を利用することは有効な方法であることが分かった。 3.水中ウォータージェット中に半径と数密度の制御可能な微細気泡を導入する方法、および画像処理法による微細気泡のサイズの計測法が示された。 4.キャビテーション初生についての数理解析と数値計算によって、従来の初生条件で決まる臨界圧力よりも高い圧力の下でもキャビテーション初生は起こりうることが見出された。 5.最近当研究室で開発された気液二相流に対する平均化モデル方程式を縮小拡大管内の気泡流に適用した結果、そのモデル方程式の有用性が確認された。
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