研究概要 |
本研究は,高シュミット数物質拡散場の数値予測法として確率密度関数法(PDF法)を取り上げ,そのクロージャモデルの開発を目指す.モデル開発にあたって,液体乱流中での高シュミット数拡散場について,速度と濃度の同時情報を含めた詳細な実験データを得ることが必要である.そこで,同時計測システムの開発に必要な設備機器をまず購入した.さらに,基本的な乱流場に関して実験を行い,モデルを構築する上での基礎的資料の蓄積を図った.以上の結果,本年度は以下の研究実績が得られた. 1.速度と濃度の同時計測システムの開発 高シュミット数拡散場特有の微細構造をできるだけ低ノイズで捉えることを目指し,高解像度(1024×1024ピクセル)で高分解能(12ビット)且つ高感度(必要波長での量子化効率70%以上)のCCDカメラを新規に購入した.また、本CCDカメラの制御からPCによる画像取得までが可能な画像グラバーを含めたPIVコントローラーも併せて購入した.これらの購入物品を用いた計測システムの完成は次研究年度の課題である. 2.PDF法における分子混合モデルの開発 分子混合モデルを開発する上での準備段階として,濃度2点空間相関方程式あるいは乱流中の2粒子対拡散場に関しての文献調査を行った.これらの調査結果を活かしたモデルの構築は次年度研究の課題である.また,モデル構築に向けた基礎的資料の蓄積を図るために,自由境界(自由表面)と固体境界という境界条件が異なる2種類の境界壁の拘束を受ける二次元オフセット噴流場に関して,その速度場を調べ,研究発表を行った.さらに,一様流と対向する円形噴流によって形成される高シュミット数物質拡散場に関して,噴流断面におけるパッシブスカラ物質の瞬時濃度場計測を行った.現在,この研究成果の国際会議での発表に向けて準備中である.
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