研究課題
圧縮性回転流体中の遷移状態および乱流を計算するための計算コードを作成した。並列計算を行うための最適化を工夫した。特にFFTを実行する部分の高速化を図った。CPU間のデータ転送が高速計算の障害となることを防止するため、コーディングの工夫だけでなく計算機システムのハード面の改良を行い、相当な高速化を達成した。得られたデータは適当な可視化ソフトによって渦度場を良く観測できるように加工した。今回は、渦管だけではなく渦層にも注目しているため、速度勾配テンソルの2次不変量ばかりでなく、様々な物理量の可視化を行い、渦構造を詳細に調べた。また、衝撃波などの不連続面が発生しているので、それらを調べるため、等密度面を解析した。同時に、圧力場と密度場の一意的な関係から圧力も解析することができた。それにより、回転流体中での渦構造の発展と不連続場との対応を詳細に調べることができた。次に、実用的な回転流体機械内での流れを調べるため、既に研究室で保有する市販流体解析ソフトを用いて回転流体の計算と可視化を行った。その結果、遠心力が流体に及ぼす様々な影響が明かとなり、流体機械の改良に関するヒントが得られた。これらの研究結果の一部は、フランスのグルノーブル大学でのセミナーで発表し、多くの専門研究者と議論を行い、まだ不十分な点の認識を明らかにすることができた。グルノーブルではコリオリマシーンと呼ばれる巨大な回転水槽を見学し、その中の水流の観測から得られる膨大なデータの解析を実際に行っている様子を見た。これを基にしてさらに研究を発展させる計画を練っている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of the Physical Society of Japan Vol.74 No.1
ページ: 345-358
International Journal of Thermal Sciences Vol.44, No.11
ページ: 1047-1060