低周波音の問題はスピードアップをした新世代の新幹線列車やリニア新幹線の実現に対し大きな障害となっている。平成17年度は、長い波動伝播管を持つモデル実験を用い、管内を伝播する圧縮波の距離減衰、非線形効果を圧力波計測装置により測定を行い、バラスト軌道効果を応用した多孔質壁を持つ複合型低周波消音器を開発するための有益なデータを得た。その結果を要約すると以下のとおりである。 (1)伝播する圧縮波の最大圧力勾配を抑制するため管にさまざな壁面材を設置し、伝播圧縮波の非線形特性および減衰に対する影響について実験を行った。その結果、管内に弾性板を挿入しても伝播する圧縮波の最大圧力勾配の上昇を抑制されることが確認された。 (2)管内に設置する多孔板は抑制効果が大きく、仕切り板を用いるとさらに効果的である。仕切り板の挿入間隔により抑制効果は変化し、間隔が管径の20倍程度が本実験範囲で最適であった。 (3)弾性板を挿入することにより、圧縮波の衝撃波形成距離が増大することが分かった。板材の弾性率が小さいほど衝撃波形成距離は大きくなる。 (4)管内に平板を設置した場合の管内を伝播する圧縮波の数値計算モデルを提案し、実験との比較をすることによりその有用性を確認した。 (5)管内に設置する平板の取り付け隙間及び弾性係数を変えた数値計算により、その影響を明らかにした。隙間間隔に対する傾向は、板材の材質により変化することが分かった。 (6)トンネル微気圧波の強さは、管出口での圧縮波の最大圧力勾配に比例することから、これらの壁面材を用いての騒音低減法の可能性が示された。
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