研究概要 |
これまで等方性の材質を仮定してべん毛の変形の解析を行ってきたが,今回の研究では,サルモネラ菌のべん毛の構造を考慮して変形の解析を行った.すなわち,サルモネラ菌のべん毛が11本の素繊維から成り,それぞれはR状態かL状態のいずれかの状態であり,R状態はL状態よりも多少短く,それぞれは右側あるいは左側に傾いている.状態の取り方によって10種類のべん毛形状がありうる.その中で実在が確かめられているクローズドコイルべん毛の大変形とノーマルべん毛の微小変形の実験結果を理論解析によって説明することが出来た.この成果は日本機械学会の国際論文集に掲載されている. 本研究室では,ビブリオ菌の遊泳の観察を行っているが,中には菌体を振動させて推進するものが観察される.ビデオレコーダーに記録された画像はNIHイメージによって解析しているが,この首振り運動はべん毛が菌体に傾いているためと考えている.べん毛の傾き角をパラメータとして遊泳の解析を行って観察結果との比較を行っている.得られた結果の一部は,2006年に沖縄で開催されるエアロアクアバイオメカニズム国際会議で発表する予定である.
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