研究概要 |
サンドエロージョンは,各種流体機械にとって致命的な現象である.流路の曲がり部で発生するエロージョンでは主流およびスパン方向に周期的な波状のエロージョン・パターンを示すことが知られているが,このようなパターンを生み出している流体力学的なメカニズムは未だ解明されていない.本研究は,申請者が開発してきたサンドエロージョン数値予測プログラムを用い,この波状サンドエロージョン・パターンを発生させる物理的メカニズムを数値的に明らかにすることを目的としたものである. 平成16年度は,正方形断面90°ベンドにおける波状サンドエロージョンの発生メカニズムの数値的解明を行った.計算条件として粒子直径と壁面曲率半径を変化させた計9ケースを取り上げ,材質としてシリコンカーバイド粒子とアルミニウム壁面を用いた.本計算により,粒子の壁面衝突により壁面に溝が生じると溝の下流方向にエロージョンが進行すること,エロージョン溝による縦渦の作用により溝の幅方向にもエロージョンが誘起されること,これらの現象が進行することによって壁面に波状のエロージョン・パターンが形成されることなどが示された. 平成17年度は,圧縮機動静翼干渉場における波状サンドエロージョン発生メカニズムの解明を試みた.計算格子の総数は約300万点である.本計算により,エロージョンが集中するのが動翼正圧面の前縁かつチップ側であること,動翼内での粒子衝突による減速のため下流にある静翼ではエロージョンがほとんど発生しないこと,粒子が遠心力によりチップ側へ集中していくことなどが明らかにされ,圧縮機動静翼干渉場におけるサンドエロージョン発生のメカニズムに関して多くの有益な知見を得ることができた.
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