研究概要 |
まず、可視化画像計測系(MOFIA)とコイン落下水中実験装置を製作した。流れ場計測と物体運動計測の撮影においで光の干渉を避けるために使用する光の波長帯を分けて画像を取り込んだ。 静止水中でのコインの落下実験では、直径10mmの円板を試料とし、密度と厚みをパラメータとして行った。密度は試料の物質を変えることにより変えた。使用した物質は、プラスチック(1100kg/m^3)、アルミニウム(2700kg/m^3)、SPCC(7840kg/m^3)、アクリル樹脂(1020kg/m^3)であり、厚みは、0.07,0.1,0.5,1mmとした。コインの落下運動の挙動は高速度ビデオカメラで撮影し、コイン周囲の流れ場(速度場、渦度場)はPIVによって画像を取り込み、いずれも画像処理を行い、流れ場とコインの運動を連動させて分析した。サンプル数が少なかったが、主な結果を以下に示す。 (1)密度の効果(厚み:0.1mm) 密度が小さい(プラスチック)場合は、2次元的ジグザグ運動を示し、渦放出により方向を転換した。中位(アルミニウム)の場合は、螺旋運動を行い揺れ幅も大きく剥離渦も強く明瞭に認められた。大きい(SPCC)の場合は、多様な運動を示し強い剥離渦を残した。特に、3次元的ジグザグ・半宙返り運動も示し、横運動では渦放出は認められず、揺れの最大位置で方向を転換した。 (2)厚みの効果 アクリルの場合、厚みが大きい(1mm)とジグザク的螺旋運動を示し渦放出により姿勢を変更した。0.5mmの場合は径方向に少し回転するように運動し、水平状態になるにつれて後流が強くなる傾向が見られた。アルミニウムの場合、厚みは0.5mm、0.1mm、0.07mmの3種類であり、運動はいずれも螺旋的で径方向に揺れ幅もほぼ同じであり、連続的な渦放出も見られた。ただし、薄くなるにつれて、落下速度が低下しジグザク的な挙動を示し、揺れの最大位置で方向を転換するが、渦放出の観測は困難であった。
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