研究概要 |
少子高齢化社会を迎えて簡便性と環境にやさしい特性を有している空気圧システムを福祉機器やヒューマンインターフェイスに応用する研究・開発が進められている.しかし,生産システムの自動化と省力化を目的として開発された空気圧システムは,動作時に空気圧騒音を発生し,人間に強い不快感を生じさせる.このため,生活環境においては,人間にやさしい新たな空気圧システムが求められている. そこで,本研究は現代人間工学の観点から,人間の感性情報である脳の活動と生理の状態を計測することにより,空気圧騒音の低減方法を見出すとともに,この低減方法に基づく空気圧システムを開発することを目的とする. 本年度は空気圧騒音の低減方法を音響学的シミュレーションにより見出すこと,音響学的シミュレーションにより得られたフェードインの効果を実現する空気圧システムを開発することを行った. 以上の2項目について詳細に述べる.代表的な空気圧騒音である空気圧用消音器の排気音を低減する高性能な2種類の消音器を開発し,それらの組み合わせを見出した.さらに,この組み合わせの消音器の排気音をディジタル録音し,コンピュータで加工した.この騒音を被験者に聞かせ脳波を測定した結果,騒音の発生時にフェードインの効果を施す方法が有効であることを明らかにした.フェードインの効果は騒音レベルが時間とともに緩やかに上昇する時間特性である.また,フェードインの効果を作り出す機構を設計・製作し,高性能な消音器に組み込み,その音響特性を明らかにした.
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