研究概要 |
少子高齢化社会を迎えて簡便性と環境にやさしい特性を有している空気圧システムを福祉機器やヒューマンインターフェイスに応用する研究・開発が進められている.しかし,生産システムの自動化と省力化を目的として開発された空気圧システムは,動作時に空気圧騒音を発生し,人間に強い不快感を生じさせる.このため,生活環境においては,人間にやさしい新たな空気圧システムが求められている,そこで,本研究は人間の感性情報である脳の活動と生理の状態を計測することにより,空気圧騒音の低減方法を見出すとともに,この低減方法に基づく空気圧システムを開発することを目的とする. 本年度は脳波・生理計測システムを用いて,平成16年度に開発したフェードインの効果を有する高性能な消音器の性能を評価することを計画した.具体的には,騒音の心理的な特性すなわちうるささの評価と機械的な特性すなわち流量特性の評価を行う.この2項目について詳細に述べる. 1.脳波・生理計測システムのデータ解析用コンピュータが実験中に破損したため、うるささの評価用データが十分に集められていない.しかし,フェードインの効果を複数の被験者に聞かせると,大変静かであるとの主観的な結果を得ている.現在,システムの修理中であり,継続してうるささの評価を行う予定である. 2.フェードインの効果を有する消音器の流れ特性を実験的に調べた.圧力と流量の時間変化を測定すると,これらの変動が抑制される結果が得られ,フェードインの効果を有する高性能な消音器内の流れが,整流化する特性であることが明らかとなった. 以上の結果を整理し国際会議と論文講演会で論文講演するとともに,文献調査や資料調査したことをまとめて日本フルードパワーシステム学会誌に解説の記事を投稿し掲載された.さらに特許出願し,発明協会主催の全国特許流通アドバイザー会議の優れたシーズとして紹介された.
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