現在、地熱エネルギーを利用する方法としていくつかの地中熱交換器方式が提案されているが、それぞれが異なる条件下で熱抽出性能を定量的に検討しているため、方式の異なる地中熱交換器の性能を相互に絶対的に評価することが困難な現状にある。また、実際に地中熱交換器を設置する場合、その抽熱量や放熱量は設置場所における地質・地層の物性に左右されるため、蓄積されてきた実験データや経験を有効に活用することが難しく、数値計算などの理論的研究が必要とされている。 本研究は、地中熱交換器として有望視されている同軸型熱交換器とU字管型熱交換器の両者の熱抽出性能・熱放出性能について、同一条件の下で実験的ならびに理論的(数値計算)に比較検討を行い、これら地中熱交換器の熱抽出性能・熱放出性能を解析・評価することを目的としている。 平成16年度は、U字管型熱交換器の熱抽出・熱放出特性を明らかにするため実験装置を製作するとともに、熱放出実験を行った。熱放出媒体の流量ならびに温度がU字管型熱交換器の熱放出特性に及ぼす影響について実験的検討を行った結果、(1)熱放出媒体の流量が大きいほど放熱量も大きい、(2)熱放出媒体の温度が高いほど放熱量も大きい、などの事柄が明らかとなった。さらに、数値計算による理論的検討にも着手しており、本年度は先行してダブルU字管型熱交換器の熱抽出特性を解析する数値計算プログラムを作成し、熱抽出媒体の流量、ダブルU字管の長さ、およびダブルU字管の配置形式の違いが熱抽出性能に及ぼす影響を明らかにした。
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