研究課題/領域番号 |
16560173
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 静雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60170502)
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研究分担者 |
飛原 英治 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00156613)
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キーワード | 二相流 / T字分岐 / 沸騰熱伝達率 / 分配器 / コンパクト熱交換器 / 冷媒 / 流量分配 / 脈動 |
研究概要 |
昨年度は、T型分岐で分岐後の並列蒸発管入口に絞り無しの実験であった。しかし、並列管入口中心の水平位置に差(0.7mm)のあることが分かったので、再実験を行った。条件として、並列蒸発管を便宜上A、Bとし、1)A管の入口高さがB管より0.7mm低い場合、2)A管とB管の入口は等しい場合、3)A管の入口高さはB管より0.52mm高い場合で、それぞれ質量流束150kg/m^2s、熱流束6.7kW/m^2と230kg/m^2s、10.5kW/m^2で蒸発温度15℃、蒸発管入口クオリティ0〜0.2、管内径0.51mm、冷媒R-134aで実験を行った。その結果、1)蒸発管の入口位置が、他方より高くなるに従い冷媒の分配量は小さくなる。2)質量流束が大きくなると分配量の偏りが増大する。3)蒸発管入口クオリティが増加すると冷媒分配量の均等化傾向のあることが分かった。両蒸発管入口高さが同じでも、液単層状態あるいは二相状態によらず偏りのあることが分かった。 絞り穴径、0.1mm、0.15mm、0.2mmの3種類の絞りを並列蒸発管入口に取り付け、質量流束100kg/m^2s、熱流束4.8kW/m^2、150kg/m^2s、6.7kW/m^2と250kg/m^2s、11.8kW/m^2において、蒸発管入口クオリティを常に0以下(サイトグラスで液単相状態を確認)で実験を行った。その結果、1)絞りの有無によらず平均的な液分配量は変らなかった。2)絞りの効果として、絞り口径が小さくなると液分配量のばらつき(分散)が小さくなり流量が安定化傾向を示す。3)蒸発管内の二相流の脈動が絞り効果により抑制されることが分かった。 局所沸騰熱伝達率に対する蒸発管入口部の絞り効果について、絞り穴径0.1mmと0.2mmの比較では、質量流束100kg/m^2s、150kg/m^2sのとき絞り穴径0.1mmのほうがやや沸騰熱伝達率がよくなっている。しかし、質量流束250kg/m^2sでは熱伝達率はほぼ同程度となっている。絞り効果は、比較的低質量流束の場合に局所熱伝達率の向上があった。従来の研究では、蒸発管内の脈動流は局所熱伝達率の低下を招くことは知られているが、本研究で蒸発管入口に絞りをつけることにより二相流の脈動を抑制することが局所沸騰熱伝達率の向上につながったと考えられる。
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