小型分散電源を用いたコジェネレーションにおける吸収式ヒートポンプによる排熱利用冷房において、排熱温度が低い場合には吸収サイクルで利用できる温度差が小さいため、蒸発器・凝縮器に比べ伝熱性能の低い吸収器の性能向上がサイクル効率向上のために重要となる。そこで水平伝熱管下部に液膜流下板を取り付けフィン効果により吸収を促進することを提案し、その効果を実験的に調べた。平滑管、フィン管、液膜流下板付きフィン管について、2本の管を上下に並べた場合の水蒸気吸収量を測定した。ここで水蒸気吸収量を迅速かつ正確に測定するため細管群と渦電流式微差圧計を用いた層流型流量計を作製し、蒸気発生器から吸収器に流れる蒸気流量を測定した。その結果、フィン管は平滑管に比べ最大80%程度吸収量が大きいこと、また液膜流下板を取り付けることにより液膜流量が小さい場合に約20%程度吸収量が増加することが分かった。加えてこの伝熱管を再生器に用いた場合の実験も行い、液流量が小さい場合には吸収の場合と同等の性能を有することが分かった。さらに吸収性能の予測を可能とするため平滑管およびフィン管について管外流下液膜の流れと熱物質伝達の数値解析を行い実験値との比較を行った。その結果、液流量が小さい場合には実験結果を概ねよく説明することができた。ただし液流量が大きい場合には吸収量の実験値は計算値より大きく、計算では考慮されていない液の乱れの影響が考えられることが分かった。以上の結果を考慮し、低温排熱利用のための2段吸収サイクルについて検討を行い、サイクル性能と装置サイズ(伝熱面積)に及ぼす諸因子の影響を明らかにした。
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