研究概要 |
本研究では、研究代表者のこれまでの研究成果に加え、二重円管の管径比の影響、伝熱面間距離の影響を明らかにすることによって代表的伝熱場における密度成層の影響を網羅的に解明するとともに、そうして得られた知見や熱伝達率の定量的データをもとに理論解析することにより密度成層場における熱伝達率を整理できる一般相関式を作成するなど、その系統的解明を行うことを目的としている。 本年度は、矩形容器内の密度成層内自然対流熱伝達にっき伝熱面間距離の影響を実験的に明らかにするとともに、理論モデル構築の一環として、対流セルの熱伝達率の相関式作成のため矩形境界領域内の自然対流熱伝達についてアスペクト比をパラメータに理論解析を行った。 矩形容器内での実験的研究では、伝熱面間距離が10mm、20mm、40mm、60mmの各場合について装置を製作し、サッカロース水溶液の密度成層を形成して実験を行った。実験条件としては、(1)初期密度勾配(溶液上下の初期密度差Δρ_0が178,88.9,44.4kg/m^3)(2)加熱熱流束q(3.35,1.50,0.37kw/m^2)(3)溶液の初期温度T_0(加熱面温度をT_h、冷却面温度をT_cとすると、T_0=T_cとT_c<T_0<T_hの場合)をパラメータにとった。その結果、伝熱面間距離の変化につれ個々の分離対流層のアスペクト比が大きく変化し、それによって全体の熱伝達率が著しく影響を受けることを定量的に明らかにした。 また矩形境界領域内の自然対流熱伝達に関する理論解析では、アスペクト比が0.1〜20、レイリー数が10^3〜10^7の広い範囲にわたって数値計算を行い、平均熱伝達率を求めるとともに、上記実験に対応してアスペクト比が1の時に最もヌセルト数が大きくなることを明らかにした。また各アスペクト比の場合について熱伝達率の相関式を作成し、一般相関式の作成について検討を行った。
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