研究概要 |
予混合圧縮自着火PCCI天然ガス機関は,ごく低いNOx排出量のもとで,高い熱効率が得られるポテンシャルを持つ.しかし,着火に要する圧縮空気温度および圧力が高いことに加えて失火とノックによる運転範囲が大きく限られることが問題である.これまでの研究によると,過給,管内および吸気管内噴射,排気再循環EGRや添加剤などにより,着火の安定化と運転範囲の拡大を図る試みが報告されている. 本研究では,天然ガスPCCI機関での着火時期の制御と運転範囲の拡大を目的として,高周波バリア放電プラズマ装置によって得られる反応性酸素(オゾンO_3、Oラジカルなど)をエンジン吸気に添加した.これらの物質は高い反応特性を持つ.得られた結果から下記のことがわかった. 1.オゾン吸気によって低い吸気温度(180℃)のもとで機関運転範囲の拡大が可能である。運転範囲の拡大はおもに低当量比の領域で得られる. 2.オゾン吸気によって天然ガスの着火が促進され、未燃炭化水素THCおよび一酸化炭素COの排出量が大幅に減少する.これによって燃焼効率が上昇して、高い正味熱効率と高出力が得られる. 3.オゾン吸気によって燃焼変動を大幅に低減し、燃焼圧力が上昇する.ただし,この効果がオゾン濃度の増加によって飽和する. 4.オゾンを100ppm添加すると吸気温度を40℃上昇させたと同様な効果が得られる.本研究で用いたプラズマ装置では100ppmのオゾンを生成するには120Wエネルギーが必要である.これは吸気過熱と比べて比較的に小さい.
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