研究概要 |
蒸気は,比較的大きな冷却伝熱面上に凝縮すると,伝熱面性状(親水性,撥水性)により膜状あるいは滴状となるが,伝熱面寸法を極めて小さくしていくと表面張力が顕在化し,伝熱面性状に関わらず球状の液滴になりやすくなる。また,凝縮液の体積に対する表面積の割合は,膜状の液より滴状の液の方が大きく,さらに滴径が小さいほど表面積割合は大きくなる。このことは,表面積が大きいほどガス吸収量が多くなる溶液へのガス吸収法にとって好都合といえる。本研究は,以上の観点から,非常に微細な円管を冷却面とすることにより凝縮形態の特異性を引出し,さらに膜滴混在凝縮の伝熱促進において効果的な管群イナンデーションをシステムとして組み入れた汚染物質除去システムを提案し,その促進メカニズムを系統的に解明するものである。 本年度は,昨年度の成果を踏まえ,実験装置を改良しより多くの条件下で実験を継続した。特に,SUS304供試管の表面を二酸化チタンコーティング後紫外線を照射することにより親水性とし,無処理の撥水性伝熱面との違いについても検討した。その結果,微細管上への水蒸気凝縮の様相は,親水性伝熱面では,液膜厚さが不均一な波状となり,左右に移動しながら成長・離脱するなど,比較的大きな円管上での膜状凝縮様相と異なることを明らかにした。また,撥水性伝熱面では,比較的大きな円管上での滴状凝縮と同様に,滴はほぼ同じ位置に定在し隣接する微小滴と合体しながら成長・離脱を繰り返した。そして,これらの離脱頻度は,濡れ性や伝熱面寸法(管外径)により大きく異なることを確認した。一方,これら微細管への凝縮伝熱特性として,熱流束はNusseltの理論値よりも全般に低めの値であり,その傾きも大きく異なること,さらに,撥水性伝熱面の方が親水性伝熱面よりも熱流束が小さくなることを,凝縮様相と関連付けて明らかにした。
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