研究概要 |
蒸気は冷却面上に凝縮すると,比較的大きな面では表面性状により膜状あるいは滴状となるが,伝熱面寸法を極めて小さくしていくと表面張力が顕在化し,表面性状に関わらず球状の液滴になりやすくなる.また,凝縮液の体積に対する表面積の割合は,膜状の液より滴状の液の方が大きく,さらに滴径が小さいほど大きくなる.このことは,表面積が大きいほどガス吸収量が多くなる溶液へのガス吸収法にとって好都合と考えられる.本研究は,以上の観点から,非常に微細な円管を冷却面とすることにより凝縮形態の特異性を引出し,さらに膜滴混在凝縮の伝熱促進において効果的な管群イナンデーションをシステムとして組み入れた汚染物質除去システムを提案し,その促進メカニズムを系統的に解明するものである.具体的には,微細径化の特異性と汚染ガス除去の現状を調べ,パラメータサーベイに基づき実験を行った.伝熱面には外径0.31〜15mmのガラス,銅,ステンレスを用いSiO_2スパッタリングなどの表面処理を施した.その結果,以下のことが明らかにされた.1)d<1mmの親水面では凝縮液がPlateau-Rayleigh型のこぶ状となり,一般的な膜状凝縮様相と異なる.2)撥水面では,一般的な滴状凝縮と同様の様相を呈する.3)離脱頻度は,濡れ性や伝熱面寸法により大きく異なる.4)d<κ^<-1>=√<σ/ρg>の親水面の場合,Nusseltの膜状凝縮理論は必ずしも有効ではない.5)熱流束は,全般的に撥水面の方が親水面よりも大きい.6)上下5段の水平円管群への凝縮実験では,管と管の隙間に形成されるCapillary Bridgeは伝熱促進の観点からはマイナス要因となる.7)しかし,汚染物質の慣性捕獲の観点からは捕獲面積の増加としてプラス効果となる.8)本汚染物質除去システムの除去効率促進に向けてCapillary Bridgeの飛散や再形成特性を流速と関連づけ追究する必要がある.
|